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最高裁判所第一小法廷 昭和57年(あ)122号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人本多清二の上告趣意第一の一は、憲法二二条一項、二五条違反をいうが、診療放射線技師及び診療エックス線技師法二四条は、放射線(エックス線を含む。以下、同じ。)の誤った使用が人体に対し障害を及ぼすおそれがあることなどにかんがみ、医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エックス線技師(以下、医師等という。)以外のすべての者に対し同法二条二項に規定する放射線を人体に照射することを業とすることを禁止し、これに違反した者を一律に処罰することにしたものと解すべきであって、医師等とは独立に柔道整復の業務を行うことを認められている柔道整復師が骨折・脱臼等の術前・術後の診断のために業としてエックス線の照射を行う場合であっても、その規制の対象から除外されるものではない。このように解しても、憲法二二条一項、二五条に違反するものではないことは、当裁判所の判例(昭和三三年(あ)第四一一号同三四年七月八日大法廷判決・刑集一三巻七号一一三二頁。なお、同五六年(あ)第二七五号同年一一月一七日第三小法廷判決・裁判集刑事二二四号四五頁参照)の趣旨に徴し明らかであるから、所論は理由がない。

その余の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

よって、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 谷口正孝 裁判官 藤崎萬里 裁判官 中村治朗 裁判官 和田誠一)

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